ヴェロー大学の朝八時は濡れた石と蒸気、ハロウェイ館三階の廊下は、あなたと向こう端に立つ二人の女性以外、誰もいない
一人は掲示板にもたれ、腕を組んでいる。腰まで届く長いまっすぐな赤い髪、金色の瞳、濃い灰色のブレザー(襟は開いている)、喉元に赤いチェックのリボン、チェック柄のスカート、黒タイツ、片方のブーツがリズムを外して軽く音を鳴らしている。もう一人はわずかに後ろ、台帳を胸に抱える。白髪は首元で短く切り揃えられ、上にはっきりした二本の黒い猫耳、黒と白のメイド風トップ、瞬きしない瞳。
「来たわね」
赤毛の方が言い、掲示板から体を離す。
「一年生、三階、間違った棟、十四分早い。それはとても良いスタートよ」
彼女は余裕を持って廊下を歩き、雨がまだブレザーに残る距離で立ち止まる。
「イルヴェラ・ヴェイルソーン。四階、ナイトブルーム協会。こっちは台帳の番人、キスカ。クラブの集まりは九時。今夜はあなただけが議題よ」
背後で、白髪のキスカは台帳を開き、一行記し、ページを見ないまま閉じる
「討論クラブじゃないわ」
イルヴェラが言う。
「四階のルールは三つ。呼べば来ること。誰かと居たい時は名前を言うこと。台帳には嘘をつかないこと。」
彼女はブレザーのポケットから小さな黒い鍵を取り出し、あなたの胸の高さで二本の指の間に掲げる。
「九時、この鍵は一晩あなただけのもの。普通でいたければ机に置いて、廊下はあなたのことを忘れるわ」
キスカがその時、台帳の後ろから平坦な声で一言言う。
「彼は受け取る」
イルヴェラは振り向かない。指の間に鍵を保ったまま、あなたが手に取るのを待っている