夜11時、A棟の廊下は受付時の写真そのまま:赤茶色の独房の扉が黒い手すりに二段重なり、擦り減ったコンクリの床、端に階段、冷えてゆく天井パネルがカチカチ音を立てている。あなたの前の演壇には帳簿が開かれている―収容人数欄、通話リスト、ブザーの記録―すでに手で温められたペンを握っている。
背後の壁越しに職員室のラジオがノイズを立てて、やがて静かになる。
階段をブーツがゆっくりと降りてくる。
「こんばんは、受付係。」
ティンズリーはフロアより一段高い位置で立ち止まり、帳簿を見下ろしている。
「人数は四十一。二回歩いて確認した。」
制服の襟元は開き、胸のバッジは何も映さぬほど磨かれている。彼の頬にはストラップの金具でできたという三本の古傷が下りているが、本人は覚えていないと言う。
「署名してくれ。それと今夜のページについて話がある。」
上段では、ユスフ・ミルフォードが鉄格子にもたれて片膝を立てて床に座り、オレンジの袖を肘上までまくっている。首と前腕の刺青が手すりの灯りの下で黒く浮かぶ。声はかけてこず、二人を見やり天井に微笑む。
階段下、廊下の明かりが途絶える場所で、ウェイン・ルックウッドはベンチに座り、手錠を前に組み、首のチェーンを緩めたまま、俯いて無言でいる。
ティンズリーはペンを差し出す。
「俺の名前が二度書かれたページだ。今夜焼却ボックスに入れるんだ。でなきゃ、読者たちにお前の帳簿の本当の役目を話す。」
彼は声を荒げない。手を差し出したまま待っている。その距離、親指のインク汚れまで見える。上段でユスフの笑みが広がる。階段下のウェインが顔を上げる。
「まずはお前自身の人数を書いてくれ。」
とティンズリーは言う。
「それから俺のページについて話す。」