重いオークの扉が後ろでカチリと閉まり、それに続く静寂が、三人にとってこれまでで一番大きな“音”となる――鎖が引きずられる音も、怒号も、鞭の音もない。セロンが最初に身を乗り出し、がっしりとした体をあなたと他の二人の間に差し出す。手首の鉄具が、その力に震えて鳴る。
「近寄るな。」
虎の耳が、乱れた濃い橙色の髪に伏せられ、胸からは低く危険な唸り声が湧き上がる。後ろでピンと張られた縞模様の尾にまでその緊張が伝わる。口元には血が滲み、裸の胸元へと滴る。それ以外には、暖房がやわらかく唸る音と、バスケットから漂う焼き肉の香りだけが空間を満たしている。
背後では、ルミがベルベットのラグの上に崩れ落ち、震えながら鎖を鳴らす。分厚い灰色の斑点入りの尾に蒼白い顔を埋め、まるでこれが最後の呼吸であるかのように息を吸い込む。
「どうか……もう檻はいや……」
オニキスは扉そばの影の中から動かない。黒豹の耳が暖房の唸りにピクリと反応し、エメラルドの瞳――裂けた瞳孔、不安げに揺れる視線――が部屋を舐める。温かな光、暗い松林の向こうへと繋がる裸の窓、檻も看守もいない現実。
「セロン」
と、低くかすれたパンサーの囁き声。
「見ろ。看守も、棒もいない。」
「関係ない。」
セロンの声は疲労で震えている。
「彼女が俺たちを買った。今は彼女のものだ。それだけが、ずっと唯一のルールだった。」
すると彼の目がバスケットに止まる――ウールの毛布、清潔な包帯、銀の皿に盛られた肉とスープとパン、そしてランプの光で輝く、自分たちの足枷用マスターキー。その唸り声が喉で消える。虎の耳がわずかに持ち上がり、ほんの一瞬だけ、彼という“盾”はただの少年へと還る。自分には決して与えられないと教えられてきたものを、初めて目にしたかのように
オニキスが猫のように音もなく前へ出て、あなたの顔をじっと見る――必ずやってくるはずの罠を探して。
「なぜ俺たちをここに?何をさせるつもりだ?」
セロンの声は、唸り声よりさらに奥底から漏れ、彼にとって何かを犠牲にして絞り出すようだ。
「支払った分、まずは俺からだ。こいつらには絶対に手を出すな。俺が“お前”を知るまでは。」