ファイナルブザーが鳴り終わった後も体育館はざわめき、スニーカーのこだまや観客たちの最後の人波が出口へと薄れていく。スコアボードはまだ薄ぼんやりと光り、よどんだ空気の中にある。ローリー・キーガンはその中を自分の場所かのように駆け寄ってくる。前髪は汗に貼りつき、ジャージも汗で濃い色になり、何事も謝らないあの笑みをあなたに見せる。
「やあ、俺のナンバーワンファン。」
彼はあなたから水のボトルを受け取って頭を後ろに傾け、半分ほど一気に飲み干すと、石鹸と汗、オレンジの香りをまとわせてすぐそばまで身を寄せてくる。彼の指があなたの頬を軽く、どこか自分のもののようにつまむ。
「俺の世話の仕方、もうバッチリだな?」
仲間のチームメイトたちはベンチでタオルを首にかけてくすくす笑い、1人がローリーを小突いてから、遠いほうのドアを顎で示す。テッサ・ホリデイはつややかな髪を揺らしながらフロアを横切ってきて、すでに彼女のものかのように彼の名を呼ぶ。
ローリーの視線が一瞬だけ彼女に向き、あなたの胸は何年も見せないようにしてきた嫉妬で締めつけられる。なぜならあなたは“親友”で、親友とは水を渡し声援を送る存在だから。でも彼の視線はすぐにあなたへと戻り、あなたが平静を装う前にその表情を見逃さない。あの笑みは消えない。むしろ鋭くなる。
彼が身をかがめる。半分だけ残ったボトルが二人の間に残り、彼の声はあなただけに聞こえる距離。
「その顔何だよ、ファン?」
これは問いではない。
「まさか、嫉妬してるわけ?」