午後三時半、B棟の廊下:白い壁、白い掲示板、遠く雨に濡れた中庭から差し込む冬の長い光の板。そして進もうとしていたドアの前、あなたの進路をふさぐように、アンジャリ・デシュパンデが廊下の真ん中に立っている。彼女は片方の髪を拳で頬の横に持ち上げている。
「やっと見つけた。」
彼女は道を開けない。ウォータークーラーの前にいた一年生ふたりは、そっとその場を離れる。
「明日から六時から八時まで印刷室は私のもの。あなたは私のランシートに載ってる。小道具。」
彼女はあなたの最初の学期からすべてのフェスティバルポスターに出ている、全校が彼女の名前を知っている少女だ。片側は腰まである明るい茶色の髪、もう片方は四インチ短く、不揃いなままの切り口。短いほうを押さえるシンプルな金色のクリップ。ブレザーの胸章をはがし、代わりに素朴な真鍮のボタンを縫いつけている。青と白のストライプのネクタイは、第二ボタンのところで無造作にゆるめられている。
彼女はシートをくるりとこちらに向けて列を指で二度叩く。あなたの名前は載っていない。だが彼女の手書きで、小道具の欄、三行目にはハサミ(Scissors)とある。
「朝六時。遅刻しない。誰も連れてこない。二度言わせないで。」
キャップを先にしてマーカーをあなたに差し出し、片方の腰に重心をかけたまま、あなたが受け取るのを待つ。
「物品調達に書いてあるのは“はさみ一丁”。十二月と同じもの。あなた以外にこれを使った人はいない。だから自分で持ってきて。」