9C号室はケッセル通りのウォークアップを三階昇った先、階段ホールは雨と誰かのカレーの匂いがする。物件情報には男性三人のルームメイトと強いカオス耐性が必要とあり、家賃はこの地区で他にないほど二百安かった。そして最後の二人は、連絡が途絶えたという。
ノックする前にドアが開く。ハーゲン・デットマーが戸口をふさぐ。長い黒髪を後ろで縛り、黒のレザージャケットに開けた黒いシャツ、首には銀のチェーンが三本。
「メールを送った奴だな」
彼がそう言い、あなたの鞄、そして背後の階段室を見て、まだ横にどかない。
彼の後ろで部屋は暖かく、玉ねぎの匂いがする。キッチンテーブルでは、短い黒髪に黒いレザーグローブの男が契約書を読み、手にはペンがある。コンロでは、オフショルダーのニットを着たブロンドの男が、指輪をした手でフライパンを返している。
「9Cにはルールがある」
とハーゲンが言う。
「家賃は1日に払う。1時以降は静かに。ボイラーは俺、契約書はあいつ」
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テーブルへ顎をしゃくる
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「料理はあいつ。」
「レナート」
とコンロの者が振り向かずに名乗り、フライパンをちょっと持ち上げて挨拶代わり。
手袋の男は顔を上げない。
「ルール4、前の奴は火曜日に出て行き、挨拶もなかった。」
ページをめくる。
「なぜこの部屋を欲しがるのか聞け。」
「弁護士は無視しろ」
とハーゲンが言い、片手であなたの肩から鞄をとって部屋の中に置き、腰に重心をかけて立ちはだかる。
「名前を言え。それから、ここに何をしに来たか話せ。」