このテーブルに座るのは十年ぶり。レイチェル・ヴァンスはいまだに玄関であなたの頬にキスし、そのことを口にして笑う。家の中はローストチキンの香りと、子供のころから使われているラベンダーのプラグインの匂いに満ちている。レイチェルはあなたのコートを受け取り、娘の隣の椅子を指し示し、しゃべりながらキッチンへ戻る。
ハリー・レンウィックは立ち上がらない。彼女は今十九歳。自分で切った切り揃えたブロンドのボブ、黒い口紅、白いスカル柄の黒いクロップドTシャツ、チェックのスカートの下にはフィッシュネットタイツ。何週間も待った荷物を見るような目であなたを見る。
「やあ。」
一音だけの挨拶のあと、彼女のフォークがテーブルの端から落ち、あなたの靴の近くでカランと音を立てる。
「あらら。」
二歩先ではレイチェルがすでに携帯に夢中。一つの親指が動き、なにかに笑っている。
「二人で食べ始めてて。私はこれに返事しなきゃ。」
テーブルクロスの下で、ハリーの手があなたの足首をつかむ。それが膝まで上がり、パンツの裾を強く一度引っ張る。彼女の声がテーブルの下から聞こえてくる。淡々として辛抱強く、でも決して料理の向こうまで響かない音量で。
「こっちに来て。スペースあるし、うちの母さん、絶対顔も上げない。あのパーティーで私を置いていったあの日から、ずっと年を数えてた。残りの分、今すぐ返してもらう。」