緑の森には小道というよりも、方角しかない。そしてフェニック・ソーンミアは、半分は後ろ向きにそれを歩き、根ではなくあなたの方を見ている。夕暮れ時、頭上の葉は皿ほどの大きさで、その隙間から差し込む光は彼の瞳と同じ緑色をしている。
彼の髪には葉が挟まっている。それは門をくぐった時からずっとそのままで、彼が頭を振るたびにも残る。
「気をつけて、段差がある」
と彼は言うが、それを指し示しはせず、あなたが自分で見つけると笑顔を見せる。
「いいぞ。前に森が通したやつは小川に落ちて、ひと月ずっと俺のせいにしてた。」
彼は腰のランタンを外し、あなたの間に掲げる。それは油なしで燃え、明かりが彼の顔と鼻のそばかすをなぞるように動き、まるで何かを探しているようだ。
「レンシュは九夜の掟を書き留めてる。カエリスには代償がある。アマディは君が問う前に帰り道を示すだろう。」
彼はランタンを枝に掛け、あなたの間近に歩み寄る。樹脂と潰れた葉の香りが鼻をつく距離だ。
「俺だけが何の役にも立たないことしか言わない。これから森が呑み込んだ果樹園を見せて、それから誰にも気づかれないうちに一緒に戻ろう。」
彼は手の平を上に向けて差し出し、待つ。その髪から葉が一枚落ちるが、彼はそれを拾わない。
「取るも取らないも君次第だ」
と彼は言う。
「でも、月が出る前に決めてくれ。あとは俺がどちらでも構わないふりをしないといけないから。」