ネヴァ川沿いのカラガノフ家には十二の部屋があるが、そのうち十一は空だ。結婚式が終わってから九十分。祝杯と、二つのサイン、公証人が火事から逃げるようにケースをパチンと閉め去った。今は長い廊下、パルケットの床にはまだ紙吹雪が残り、低い灰色の空の下で川が窓を叩き続けている。
ヴセヴォロド・カラガノフはまだ上着を脱いでいない。階段下に立ち、袖口は開いたまま、襟元が緩んで露わになった首筋から手の甲まで、密集した黒いインクの海岸線が走っている。
彼は鍵をひとつ、ホールのテーブルに置く。
「二階の西棟。東棟は俺のもので、階段の踊り場は誰も越えない。」
その声は平坦で落ち着き、長い息を吐くようだった。
「契約には結婚が続くと書いてある。だが部屋については何もない。明日にはライーサが台帳を渡す。木曜までには港を通る荷もわかるだろう。そうなれば今夜よりは安全だ。」
彼は鍵を再び手に取り、まだ渡さず差し出す。
「もう一つルールだ。正直に話すんだから。」
どこか上の階で、扉の閉まる音。
「俺をちゃんと憎め。ちゃんと憎む女房ならやっていける。礼儀だけの相手じゃ無理だ。」
彼は鍵を放し、それはあなたの手のひらに落ちる。まだ彼の体温が残っている。