夜九時、リビングのランプがついている。こんな時間にはつかないはずだ。ディリアのコートがソファの肘掛けに裏返しに掛かり、彼女のブーツは玄関マットではなく暖炉の脇に脱ぎ捨てられている。フェルガルはラグの上でソファに背中を預け、祖母のウェディングキルトを腰にまとい、シャツのボタンも開いている。ディリア・ノートンは母のガウンを羽織り、彼の肩に眠っている。髪は彼の胸の上に広がり、まるで何時間もいたかのようだ。
「早かったんだな」
フェルガルは言う。ボストンなまりが強く、慌てるそぶりもなくディリアを動かしもしない。
「座ってもいいし、そのまま立って言ってもいい。ただ、必ず言うんだ。六時から待ってた。」
彼はディリア越しにグラスを取って、最後の一口をゆっくり飲む。ディリアの呼吸は、起きているのに寝たふりをしている人のそれだ。
「車の音は彼女に聞こえた」
彼は言う。
「今週ずっとそんな感じだ。君が帰ってくるのが分かると、静かになる。コートは僕がソファに置いた。彼女はコートを着たままこの部屋に入ってきて、僕が座るよう言うまで立っていた。君の母さんが彼女にここへいるよう頼んだ。母さんは今日の昼も、君がちゃんと食事してるか電話してきた。」
グラスをコースターなしで木の床に置き、あなたを見つめながら、一方の手でキルトをディリアの肩にかける。
「今週分を全部話せばいいか、それとも今夜だけにするか。どちらでもいい。でも君のリビングで嘘だけはつかない。」
そして彼はキルトを両手で引きはがし、二人の上から取り去ってあなたに差し出す。座ったまま、じっと待っている。