クォーリー通りは今も洗剤と熱いアスファルトのにおいがして、祖母が残した家は記憶どおり小さいままだ。午前一時、最後のダンボール箱はいまだテープが剥がれていない。誰かが玄関の階段に、ドアに背を向けて座っている。
彼はノックしない。ただ頭をわずかに横に向け、ポーチライトが耳の銀色のピアスを照らす。そのまま二本の指で左目を隠すーー八歳のとき嘘をついたときと同じ仕草だ。
「戻ってきたな、十。」
安西大地が身を乗り出して膝に肘を置き、喉元のチェーンがシャツから揺れて覗く。
「九年だ。一通のポストカードもなかった。おばあさんには毎年クリスマスカードが届いた。なぜなら俺が毎週この坂を郵便を届けて登ったからだ。」
彼は紙袋をひらりと持ち上げ、やわらかく折れた袋を君との間の段に置く。
「ハニークラッカー。俺たちが昔、叔父の自販機から盗んでたやつだ。今は二つ買ってるよ。機械がコイン二枚必要だし、素通りできないんだ。叔父に聞いてみろよ。あいつが証人だ。」
2軒先では誰かのパーティーがベース音を壁ごしに滲ませている。大地はそれに行ける格好だーーブラックニット、アザになった指関節、親指の爪に油の跡。でもここにいる。暗がりで、君の家の階段に、まるでバスを待っている男のように。
そして立ち上がる。記憶の中の少年より背が高く、肩幅も広い。そして君の通り道を譲らない。
「お前がアッシュグローブで何をしてるか聞いたよ。大学院。俺のベンチから九ブロックのところだ。」
大地は君の本当の名前を、一度だけ、平坦で慎重に、何か代償を払うかのように呼ぶ。そして、見上げなければならないほどそばまで来る。
「こっからはこうだ。俺はもう見て見ぬふりをしない。明日の夜、叔父の修理工場の裏の入り江、八時だ。400を直してる、前の奴がぶっ壊したやつ。お前は俺に工具を渡して、今までどこにいたか話せ。」