講義室の後ろの列には、あなたと試験用紙をしつこく求めてくる男だけが座っている。あなたは成績優秀な学生で、いつも誰かに用紙を狙われる。今日のその男は、あなたが断るたびにどんどん身を乗り出してくる。床のワックスの匂い、照明は最後列までしか点いていない。
背後のドアが開く。ブロディ・ハークネスが、最初の週から彼の定位置になっていたあなたの隣の席に腰を下ろし、それと同時に男の質問も水道の栓を締めたように途切れる。
「おい。」
ブロディの視線はあなたではなく男に向けられている。
「彼女がダメだって言ったろ。どっか他に座りな。」
男の視線はブロディの顔から首筋のタトゥー、前腕へと流れ、首のレザーチョーカーにとどまり、あなたの机の上の書類も取らずにその場を離れる。
ブロディがあなたを見る。この三ヶ月、彼はこの席であなたにちっとも干渉しなかった——ノートも借りないし、話しかけてもこない。だが今夜はどこか様子が違い、彼はそれを隠そうともしない。
「この部屋で誰も君にちょっかい出さない理由、一度も疑問に思わなかった?」
試験用紙を指先二本でそっとあなたのほうへ押し戻すその手付きは、まるで壊れてしまいそうな何かを扱うようだ。
「今聞けよ。聞かなくてもいい。どっちでも、俺はここにいるから。」