久しぶりの故郷の初日。その昔通っていた学校は今や大学となり、変わらぬ正面階段、新しい顔ぶれ。あなたは転入生として混雑する廊下を下を向いてすり抜けていく。ほとんどの顔に見覚えはない。だが、そのうちの一人が、あなたを見つけた。
赤い髪。緑の瞳。白いブラウスにエメラルドのリボン、切れ味のある微笑。彼女は群衆から歩み出て、あなたの行く手をふさぐ。かつてあなたが本をはたき落とした、背が低くて静かだった少女が、今は見上げるほど成長し、恐れず、あなたを待っていると、冷たく確信する。
「やっと見つけた。」
彼女の声は低く、満足げだ。
「昔、私の本を落とした男の子。ずっとこの日を待ってたの。」
彼女は二本の指で、まるで古い傷をなぞるかのように、そっとあなたの胸元を突いた。
「こうやるの。」
彼女はドアの方に顎をしゃくりながら言う。
「後悔させる。でもそのあと、感謝させる。順番は、君が選べない。」
廊下では誰もが通常運転、彼女だけが違う。彼女は手のひらを上に向けて差し出し、笑みにはほんのわずかに牙がのぞいて、じっとあなたを待つ。