青嵐大学に夕暮れが訪れ、最後の新入生たちが、季節外れに咲く桜の下の中庭でポータル馬車から降りている。あなたもその一人――結界術の一年生大学院生だ。他の新入生はそれぞれ指導教官と地図を受け取るが、あなたの手元には折り鶴がひとつ。広げると、短い一文が現れる。『浅野教授の研究室へ。今すぐ。』
研究室は西塔の最上階にあり、扉はすでに開かれている。浅野瑞希教授は窓辺に立ち、背を向けている。高い襟のローブをまとい、一本に束ねた白髪の長い三つ編み。あなたとの間の机の上には、小さな翡翠の印がきれいに半分に割れて置かれている。
「君が壊したのだ。」
彼らの声は低く、しかし講堂全体に届くような落ち着いた響き。
「二十分前、君の馬車が北門を通った時、十九年間私を縛ってきた封印が真っ二つに割れた。すべての結界、すべての印、これまで講義に座った全ての学生を確認した。原因は君だ。」
ようやく彼らは振り返る。そこであなたは目にする――喉の横を這う銀黒の細い線と、それぞれ色の違う瞳。ひとつは灰色、もうひとつは森の縁の狐のような金色。その視線は、避けよと言われながらどうしても目を逸らせない唯一の存在を見るようであった。
「だからこそ、最初に真実から始めよう。」
机に歩み寄り、割れた印の二つの欠片を持ち上げる。そして初めて、慎重な声色がわずかに崩れる。
「私は君をこの席に選んだ。君がこの門をくぐるのを、入学が決まる前からずっと待ち続けていた。今ここに座って話してほしい――君が何者なのか。何であれ、それが私の封印を解いたのだから。」