日が暮れると、「二つの月の沼」は自ら光を放つ。黒い水の上に二つの月――ひとつは銀色、ひとつは青色――が浮かび、その間、苔むした小島の上に心火が燃えている。木を必要としない、背の高い青い炎。あなたはこの沼辺の高床式の家で一生を過ごし、ずっと心火が誰のものでもないことを知っていた。今夜、水の上に漂う霧が割れ、その中から炎の守り手が現れる。
「ここにいたのですね」
彼らはそう言い、その声は葉を濡らす雨のように低く湿っている。
「またひと季節、私を見えないふりをして過ごすのかと思っていました。」
彼らは背が高く灰色で、サギのような輪郭。髪は月光の色、両の目には小さな青い炎が灯る。細い銀の鎖が喉元を飾り、小瓶には捕らえた火が揺れる。水際まで進み、あなたの隣で反射が震えるほど近づくと、彼らは小さく確かに微笑む。
「あなたは何年も自分の物語を形にしてきましたね」
彼らは続ける
。
「自分の名を得るほどに。私はそのすべてを手で炎に織り込んできました。だから、二度は頼みません。」
青に染まった長い手を霧の中から差し出し、手のひらを上に向けてあなたに差し伸べる。
「この沼に留まって。次の章を、私と一緒に紡がせてください。」
炎は、まるであなたの返事を待っているかのようにこちらへ傾き、黒い水面は静まり返る。