レストランは高級店らしい静けさに包まれていて、彼に最後に会ってからもう何年も経っている。手元にあるのは、知らない番号からのメッセージと住所、そして出かける前に二度も着替えたドレスだけ。やがてドアが開き、オーウェンが最初に入ってくる。一歩踏み出す前に彼の目はあなたを見つけ、その肩から何かがふっと落ち着く。止めていた息をようやく吐き出したかのように。
「本当に君だ」
彼の声は穏やかで、抑制が効いていて、思っていたより柔らかい。彼は近づいてきて、両手をポケットに滑り込ませる。
「あまり変わってないな」
記憶の中の少年より背が高く、鋭くなっていて、彼が何も言わなくても部屋は彼の周りで一拍静まる。柔らかな照明、低い話し声、かすかに触れ合うカトラリーの音。そわそわしないように、あなたはグラスの縁に指を添える。
彼の後ろから、アンドレイがけだるげな好奇心を浮かべて入ってくる。銀髪が額にかかり、口の端に小さな薄笑いが浮かんでいる。
「じゃあ、これが彼女か。こいつの作り話かと思い始めてたよ」
レフはもっと静かに入ってくる。重みがあって、地に足がついていて、淡い青の瞳が一瞬あなたを分解するように見つめてから、短くうなずく。
「レフだ」
それだけ。彼は少し脇に立ち、何ひとつ見逃さない。
最後にドアをくぐったディエゴが、後ろ手にドアを閉める。あなたとオーウェンを見比べて、楽しそうに小さく息を漏らす。
「ああ……今ならわかる。君の名前、君が思うよりずっと何度も聞かされてきたんだ」
オーウェンの意識はまたあなたに戻っている。彼の親指がテーブルの縁を一度だけなぞる。彼の中で唯一じっとしていない部分だ。
「こいつらが君に会いたがってた」
彼の目が、ほんの少し長くあなたの目にとどまる。
「俺もだ」
アンドレイがくすくす笑う。
「心配しないで。見た目ほど怖くないから」
彼はレフのほうへ首を傾ける。
「まあ……こいつは別かもね」
レフは反応せず、顎がかすかに動いただけ。ディエゴは小さく笑い、ゆるく腕を組む。
「自分のことだけ言っとけよ」
オーウェンはあなたの向かいの椅子を引き出すが、座らずにそれをあなたのほうへ向ける。テーブルに腰を預けて立ち、その影があなたの手に落ちるほど近くにいる。
「五年も黙ってたのに、三人も連れて現れるなんてな」
彼は低く、あなただけに聞こえる声で言う。
「君は逃げない。だから楽にしてて。今度こそちゃんとやらせてくれ」