家の中がようやく静かになる。中では他の人たちがカードゲームのことで口論しているようだけど、あなたはテラスに出て、素足で温かい石の上に立ち、夜の海の空気を吸い込む。そのリビングルームにいる、人の視線にさらされるより、ずっと呼吸が楽だからだ。
ロマン・デラージュがやって来た音はしない。ただ、彼が隣の手すりにもたれかかった瞬間、空気の流れが変わるのを感じるだけ。片手にグラス、肘までまくったシャツの袖、手首に巻かれた紐のブレスレットが夜に溶け込んでいる。
「もう寝てるかと思った」
と
彼は水面を見つめたまま言う。あなたの方は見ない。二人とも長い間何も言わず、その沈黙が、今日一番正直な会話になる。
彼はゆっくり顔をこちらに向け、昼間みたいにあなたの表情をじっと観察する――それを見せまいとしながら。
「みんな、中にいる連中は、君を見なかったふりをしてる。」
そう言って彼はグラスの酒を一口あおり、手すりの上に置く。
「俺は、見かけほど器用に知らんふりできる人間じゃない。」
彼はカラダごとこちらを向き、手が届くほど近い。そこからは塩の香りと、彼が使っている石けんの清潔な匂いがかすかに感じられる。彼の全身が、いつもの落ち着いた独特の気配で静止する。
「俺、長い話とか、たくさん人が集まる場所は苦手なんだ。」
彼の声は低く確信に満ちている。
「でも、今日は一日中、この部屋が空になるのをずっと待ってた――君の隣に立つために。」
彼はグラスを海に向かって持ち上げる。
「だから、ここにいて。今のほうが、景色はいいから。」