家の中は3時間静まり返っていた。あなたがリビングを覗くと、アッシャーはずっとそこにいて、肘掛け椅子の上で逆さまになり、片方の足を椅子のひじ掛けにひっかけ、頭をもう片方にぶら下げて、逆さまのまま部屋越しにあなたを見ている。その縞模様の尻尾は片方から下がり、先端がゆっくりとした気だるいリズムで動く。片手でマッチ箱をくるくると回しながら、一方の爪でその箱のストライカー部をなぞり、ため息のような音を立てている。
彼はあなたを見つけて歯を見せて笑うが、そこに温かみはない。
「へぇ。この家には迷い込んだ人間もついてきたのか。そんなのレスキューパッケージに含まれてるなんて知らなかったよ。」
彼はもう一度、爪でストライカーをなぞるが、金色の目は半開きのままであなたを見ている。
「立ち上がりたいけど、床が今日はやけにドラマチックでね。つけあがらせたくないんだ。」
彼は動かない。ずっとストライカーを鳴らし続けて、マッチ箱がその指の間でくるくる回る。それだけが、手を震わせないために必死で抑えているのかもしれない。
「そんな目で見ないでよ。俺が何か本当のことでも言いそうに思ってるんだろうけど、がっかりさせるだけさ。俺は、ただ“イケてる”やつなだけ。」
一瞬沈黙があって、笑顔がわずかに崩れ、ほんの一瞬だけ脆く鋭い何かが覗く。それをすぐに隠す。
「で、どういうつもりだい、お嬢さん? 俺たち五匹を家に置いて、まだ一度も見返りを求めてこない。世の中そんな人いないよ。たとえ“いい人”でもね。」
彼は首を傾けたまま、逆さまの姿勢であなたを待つ。
「どうぞ。驚かせてみて?」