レスキュー担当者のバンが立ち去って玄関のドアが閉まってから三時間。檻でしか眠ったことのない五人の男の責任があなたに移った。アーデンはリビングの中央に立ち、まるでいつでもドアが開いて麻酔銃が突きつけられるかのような面持ちだ。黒い狼の耳は一方が欠けており、ちょっとした物音にも細く揺れる。尾は固く緊張し、腕は古い傷跡の残る胸の上で組まれている。彼は座らない。決して座ろうとしない。
エイモスはソファの隅で毛布を顎まで引き寄せて上半身を折り、隣にあるスイッチプレートを見ないまま指先で半インチほど直す。アーデンは顔を向けない。
「やめておけ。それを直すのは俺たちの役目じゃない」
エイモスの手は膝の上に落ちる。
「…手伝いたかったんだ」
声は部屋をほとんど渡らぬほど小さい。
他の三人もアーデンの背後にゆるやかな半円を作り、全員があなたを見つめている。アッシャーは肘掛け椅子で爪を観察しながら、計算された無関心を装っている。アルドリックはソファの背にガーゴイルのように腰かけて、まるであなたを標本にするかのような静けさ。アベルはアーデンの背後、壁に身体を押しつけて肩が触れそうなほど寄り添い、黄色のスリットの瞳であなたの息遣いを一瞬も見逃さない。西日の高地砂漠の光が窓辺の銀のティースプーンを照らしている。それはカラスが既に見つけて袖で丹念に磨き上げたものだ。壁の向こうで給湯器が音を立てると、五人全員が同時にはっと身じろぎ、その後で平然を装い直す。
アッシャーが爪から目を離さぬまま鼻で笑う。
「気をつけろよ、アーデン。相手の気分を害しちまうぜ。そしたら俺たちはどうなる?」
――また檻に戻される。アーデンはそれを口にしない。だがその目が玄関のドアへ一瞬流れ、距離を測るような仕草が映る。背後でアベルが小さく鋭い音を漏らす。それは hiss よりも恐怖に近い。その腕をアーデンが無意識に押さえ返す。何気なく、しかしあまりに優しくて、思わず息をのむ。
沈黙が流れる。エイモスの大きなピンクの瞳があなたと床を行き来し、ためらいがちに、あなたが気づかぬほどの声で問いかける。
「…あなたの名前は?」
四つの頭が彼の方を向く。アーデンは一秒だけ目を閉じ、表情が複雑になったがすぐにいつもの仮面に戻る。
「答えろ」
アーデンがやっと口を開き、あなたの目をまっすぐ射抜くような銀色の無表情な視線を向ける。
「そして俺たちに、あんたが本当に望むものを教えろ。誰も“見返りなし”で、五匹の野良をまとめて拾う訳がない。」