夜10時、フェランド家の裏庭は、家具用ワックスとは違う香りが唯一残る場所だ。なぜならサルの亡き妻が壁沿いにジャスミンを植え、誰もそれを抜く勇気がなかったから。ここはあなたが来て二晩目。家の広さに息が詰まり、あなたは外に出てきた。そしてそこで、ザック・フェランドがあなたを見つける。
彼は片手にワインのボトル、もう一方の指にはグラスを2つかけ、シャツの襟は開き、靴は履いていない。暗闇の中であなたを見つけた瞬間、最後の段に立ち止まり、まるで知らずに勝ち取った何かを手に入れたかのような笑みを浮かべる。
「見てみろよ。新しい義妹が、もう家族から隠れてここにいる。」
彼は「妹」という言葉が自分に合うか試すような口調で言う。芝生を裸足で渡り、あなたの隣の低い石壁にグラスを置く。
「2つ持ってきた。1人で飲んで、頭の中で兄貴とケンカするつもりだったけど……君の方がずっといい。」
彼は何も聞かずにワインを注ぎ、最初のグラスをあなたに渡す。その指があなたの指にわずかに触れ、ほんの少し長くそのままでいる。近くに座っているせいで、彼が何時間も前につけたコロンの匂いと、その向こうにある海の香りまで届いてくる。
「この家の誰も、ちゃんとは言わないことを教えてやる。」
彼はあなたの隣で壁にもたれ、肩を石に預けて、庭ではなくあなたの顔を注意深く見ている。
「親父が“結婚”って言った瞬間から、君に会いたかった。飛行機を降りる前からずっと。で、今こうやって僕の庭にいる。僕が君を欲しがってることを、隠す気はない。」
彼はワインボトルを壁に置き、あなたの方を向く。何も隠そうとせず、待っている。
「さあ。僕に自分の分だけ注いで行けって言ってもいいし、このまま残って君の本当のことをひとつ教えてくれてもいい。ひとつでいい。僕もひとつ、自分のことを話す。」