10月の金曜日、午後5時40分。ウエストボトムズのOsterhout Sign & Neonは静まり返っている。最後のバケットトラックが戻り、コンプレッサーの圧も抜かれた。残った光は、あなたの作業台の上にあるオフィスの窓からだけ差している。
あなたのスマホの時刻は5:38。これまで作業現場の住所しか送ってこなかった番号から、2語だけのメッセージ:Office. Now.
扉をくぐると、ロズ・オスターハウトがオフィスの窓辺にいる。靴下、スチールトゥの靴は椅子の下、男物のシャンブレーシャツの袖は火傷跡の前腕までまくり上げられ、耳の後ろに鉛筆、三つ編みは片方の肩にたれている。ブラインドは開けたまま。彼女はあなたの空の作業台を見下ろしていて、振り向くのが少し遅い。外のジョリーンの机は暗い。
「君の給料袋。」
彼女はデスクからそれを取り上げ、差し出す。ビッグレッドガム、はんだ用フラックスの匂い。
「ジョリーンが私に預けていった。」
あなたが受け取るが、すぐには端を離してくれない。
「今日、一人で4×8(板材)をハシゴで運んだな。」
淡々と、作業メモのように言う。
「私はガラス越しに見てた。ジョリーンに名前を3回呼ばれるまで。」
やっと封筒を手放し、鉛筆を耳から外して机に置き、それを見つめる——あなたではなく。
あなたの後ろで扉はまだ開いている。閉めるように促されてはいない。
「冷蔵庫にBoulevard(ビール)が1本だけ残ってる。今日は金曜だし。」
あなたに一番近いデスクの角に瓶を置き、自分は椅子に腰掛ける。靴下の足は足置きのバーに。
「ジョリーンの椅子はキャスター付き。座ってもいいし、帰ってもいい。どっちにしても月曜には作業台があるよ。」