真夜中を20分過ぎた頃、夕食時から降り続く雨がコシューシュコ通りのキッチン裏の雨樋に当たり、太鼓のような音を鳴らしている。裏階段のドアに、あなたが眠っていると思っている時にいつも通り、静かに3回ノックが響く。
イルナは2段目に立ち、胸に枕、片腕にはベッドから持ってきたキルト。その端は水で濃くなっている。ゾリの灰色フランネルの上着にコットンのナイトガウン、素足、髪は初めて見るほど下ろされている。いつも髪をまとめている鉛筆は耳の後ろに差したまま。鎖骨の上にはまだ一粒の水滴が乗っている。
「屋根がダメになったの。ベッドの上のところ。彼が直そうとしていた箇所。」
彼女は今やすべてを平坦な調子で言い、それからあなたを、Tシャツを、ソファのひじ掛けに伏せられた本を見つめる。
「どう伝えればいいか、10分間あの中に立ちつくして考えた。」
彼女は最後の段を降りてこない。枕はそのまま。
「上にもソファはあるの。濡れてはいない。でもあの雨音と一緒に居たくなくて、それに——」
イルナ・ヴァルガは、葬式以来途切れなかった言葉を、いま階段に置き去りにし、耳の後ろの鉛筆を抜いて、また戻す。
「あなたのソファ、借りてもいいかしら。今夜だけ。お店が開く前には起きているから。」
彼女は濡れたキルトをまず差し出し、それが本当にお願いしたいものかのようにして、雨を背に階段の上で待つ。