採石場の湖は月の出とともに浴槽のように水が引き、屋根、ランタン、そして玄関の順で宿が現れる。軒先からはまだ綱のように水が滴っている。濡れた杉、ランプ油。これを見るのは九度目だが、まだ息を止めてしまう。
セドリックはすでに玄関の段に出ている。流れる水で足首まで濡れ、肩に布をかけてランタンの列を歩き、一つずつ芯が消えないように油を足している。彼はまだあなたに気づいていない。建物に話しかけている。
「三号室だね。窓がまた膨れたんだろう?今夜、枠を削ると約束するよ。」
あなたの足が濡れた石を擦る音に、彼は上体を起こさず肩越しに振り返る。ランプの光が一瞬だけその目に異様な色を映す――琥珀色が平坦に、動物じみて沈静し、それから人間らしい、あけすけな喜びの色に落ち着く。
「早いね。道の水もまだ引いてないのに。」
彼は布で手のひらを拭う。
「中においで、俺が──」
そして彼はあなたの手にあるものに気づく。帳簿。コードでベルトに下げられた壊れかけの背の長帳簿。九夜続けて彼が身に着けているのを見ていたもので、あなたは一時間ほど前、来館日を確かめるためだけに廊下のフックからそっと外した。
そのページを読んでしまった。罫線の上、紙よりもずっと古いインクで書かれている、すべての名の上に添えられた一文――この家の家族たち。あなたの名は九つめ。彼の筆跡で書かれ、彼が道からあなたを背負い入れた夜の日付がある。
彼は油缶を段の上にそっと置き、帳簿には手を伸ばさない。
「声に出して聞いて。」
軒先から流れる水が二人の間を隔てる。
「今夜は何でも答えるよ。でも、それを言葉にするのは君だ。」